仏教と批判的合理主義

特殊正義論・再論

leaf不正義の除去を目指しうるための最低限の正義論


 わたしが犬のメメさんのところで展開した正義論は、不正義の除去を目指しうるための最低限の正義論なのでした。すなわち、不正義の除去に使いうる正義なる概念とは一体何ぞやとゆーことを論じる正義論だったのです。これは、アインシュタイン的にゆーならば、「特殊正義論」なのであるっ!

 で、昨晩アップした「絶対的正義と相対的正義」は、アインシュタイン的にゆーならば、「一般正義論」なのだ。あれは、わたしたちが社会に求める正しさについてのより一般的な議論。よーするに、「不正義の除去に使いうる」とゆー条件を外した、より一般的な正義とゆー概念についての議論。

 そんで、先に「絶対的正義と相対的正義」を読んだ人が、以上のことを押さえずに、わたしが犬のメメさんのところで展開した議論を読むと混乱が生じるおそれがあるとおもうんです。だから、今、この記事を書いてるわけ。

 先に「絶対的正義と相対的正義」をお読みになった方で、今から、犬のメメさんのところをお読みになるという方がもしおられましたら、あそこでわたしが使ってる「正義」とゆー用語はすべて「絶対的正義」という用語に脳内変換しながらお読みになって下さいませ。さもないと混乱するとおもいます。ってゆーか、今さらあっちを読むのはめんどうでしょう。わたし自身、読み返すのしんどかったし。

 だから、いっちょ、もっぺん特殊正義論をきちんと自分のブログでも再論しておきましょうと。そんで、こんな記事を書いてるわけ。わかった?

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  1. 2009/04/21(火) 01:16:18|
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絶対的正義と相対的正義

 犬のメメさんのところでわたしがやった議論は、ひとことでいうなら、「絶対的な正義が存在する」とゆーものだ。この場合の「絶対的な正義」とは、社会の構成員全員が認めざるを得ない正義という意味である。社会の構成員全員に通用する正義といってもいい。

 具体的にいえばこうだ。「正当な理由なく、ある構成員が、他の構成員の生命を奪うことはあきらかに正義に反するし、それを阻止することはあきらかに正義であるし、そのような不正義/正義は社会の構成員全員に通じる不正義/正義である」と。

 たぶん、厳密に議論しようとすれば、「正当な理由なく」という部分についていろいろと述べなければならないんだろうが、それは今は省略する。

 社会の構成員はそれぞれ自らの望む価値の実現をめざそうとするわけであるが、それは、生命が維持されていてはじめて可能になるのである。そうである以上は、上に書いたような正義は、いわば最低限の正義として、構成員のすべてが認めざるを得ないはずである。これは、要するに、「生命は基底的価値である」ということなのであるが、それについての詳しい議論は別の記事「特殊正義論・再論」に譲る。

 しかし、「絶対的な正義が存在する」からといって、すべての正義が絶対的であるわけではもちろんない。正義には相対的なものもたしかにあるのだ。もちろん、ここでいう「相対的な正義」とは、社会の構成員全員に通用するわけではない正義とゆー意味である。

 あそこでのわたしの課題は、「あらゆる正義は相対的なものにすぎない」とゆーような誤った考えを破壊するというただ1点だったわけだが、結局、それすらも達成できず、当然、相対的な正義についての話にまで議論が進むことはなかったけれども、とにかく、相対的な正義もたしかにあるのだ。しかし、相対的な正義しかないわけではないよ。そこを間違ってはいけない。このことは何度でも言っておく必要があるみたい。なぜだか、このことを認めたがらない人が実に多いから。

 絶対的な正義に反することは、絶対的な不正義である。しかし、相対的な正義に反することは、また別の相対的な正義でありうる。

 すなわち、構成員の間で、それぞれの相対的な正義どうしが対立するという事態が生じうるとゆーことだ。こういった場合には、もはや、相手を不正であると非難することはそもそも不可能であることに注意してもらいたい。相対的な正義に反することは、また別の相対的な正義でありうるのだから。
 
 さりとて、彼らは、実力をもって相手の存在を消し去ることにより、自らの相対的正義を実現するわけにもいかないのである。なぜなら、それはまさに絶対的不正義そのものであるからだ。相対的であるとはいえ、曲がりなりにも正義を標榜しようとしている彼らが絶対的不正義をなすわけにはいかないのである。

 結局、このように、相対的な正義どうしが対立する場合には、お互いが相手方の正義と真摯に向き合って、調整を試みる他はあるまい。相手を不正であると非難することもできず、かといって、実力をもって相手の存在を消し去ることもできないのだから、そうするしか道はないのである。

 しかし、その調整は、常にうまくいくとは限らない。どうやってもうまくいかないような場合でも、結局のところは、それらの一方は優先され、一方は否定されざるをえない。

 とゆーわけで、社会には、それを実際に行なうための智慧(システム)が必要になるわけだ。現実のこの社会でいうなら、たとえば、法律(多数決によって定められた規範)と裁判制度(個別の事実を法律にあてはめて、一方の正義を優先し、一方の正義を否定する装置)はその代表選手といってもよろしかろう。

 もっとも、一方を優先し、一方を否定するといっても、「否定される側に配慮して優先する側を修正する、といったプロセスが必要」[*]になる場合も当然あります。このことはさっき勉強したんだけども。

 以上、犬のメメさんのところで論じ残したことを書いた。

[*] 小林和之『「おろかもの」の正義論』〔ちくま新書509〕(筑摩書房、2004年)の105頁。


【2009.04.21 付記】
さきほど「特殊正義論・再論」をアップしたのにともない、この記事も多少修正しますた。





  1. 2009/04/20(月) 00:57:20|
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非合理主義者の歩く道

leaf 「世界は開かれている」

  この記事は、「真理について」という記事の続編です。

  わたしは、前回の記事の中で、「わたしたちは世界を自由に変更できたりしません」と書きました。まずはこのことについて補足説明しておきたいとおもいます。

  世界は変化していきます。わたしたちも世界の中の現象ですから、当然、変化していきます。わたしたちは、世界が自分たちにとって好ましいほうに変化することを望みますし、そうなるように最大限の努力をするでしょう。

  しかし、「自分たちにとって好ましいほう」といっても、それが人類の構成員全員にとって常に一致するなどということはとても期待できないでしょう。

  ある特定の問題(例えば、人類滅亡の危機を回避するとか?)については、もしかしたら一致団結できるかもしれません。しかし、《人類の全員が協力しさえすれば、どんな方向にでも世界を思い通りに変更できる》などということは期待できないでしょう。

  世界は容赦なく変化していきます。わたしたちは、世界が好ましいほうに変化するように努力をするわけですが、その努力は、《常にむくわれる》わけではありません。そのかわり、《常に裏切られる》ということもありません。「世界は開かれている」ということですね。

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  1. 2006/12/16(土) 20:48:48|
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真理について

leaf 対応説という真理観

  このブログでは「真理」という言葉をたびたび用いることになるかもしれません。そこで、まず最初に、「真理」という言葉を筆者がどのような意味で用いるかを簡単にご説明しておきたいとおもいます。「真理」というと、もしかしたら難しく聞こえてしまうかもしれません。そのときは「真である理論」と読み替えて頂くとよいかもしれません。

  今、ある一つの理論があるとしましょう。その理論がどんなものであるときに、わたしたちはその理論を「真である」というのでしょうか。いろいろな説があるようですが、わたしは「対応説」という考え方を支持しています。これがもっとも素朴な考え方ですし、それでいて、特に欠点もないようにおもえるからです(他の説を支持する人たちにはいろんな欠点が見えているのでしょうが…)。ここでは、このブログを読むのに必要なことだけ説明しておけばよいとおもいますので、以下では、対応説の立場から「理論の真偽」についての筆者の考えを説明したいとおもいます。

  理論というのは「世界についての説明(またはその体系)」といってもよいとおもいます。とすれば、ある理論が正しく世界を説明しているとき、その理論は真である(世界についての正しい説明である)ということになりそうです。では、「正しく世界を説明している」ということはどういうことでしょうか。「理論が世界と対応(一致)している」ということではないでしょうか。逆にいうと、理論がみずから説明しようとしているもの(世界)とズレていれば、その理論は偽である(世界についての正しい説明ではない)ということになります。真理についてこのように考えるのが対応説です。

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  1. 2006/12/12(火) 20:24:49|
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